2014年1月19日日曜日

 大島智子 ショートインタビュー


大きな目、あまりにも等身大の生活。
数年前からそんなイラストをWeb上にアップし続けていた、大島智子。
泉まくらや禁断の多数決のMVで注目を集める彼女に簡単な質問に答えて頂いた。



■ 健康で文化的な最低限度の生活

非常に特徴的なモチーフでイラストをお描きになられますよね?
イラストを描き始めたきっかけや、現在の絵につながる出来事があれば教えてください。

大島 : 子供の頃から絵は描いていました。今の絵柄に直結するのは中学一年生くらいのころ
好きな先輩にふざけているところを見られて恥ずかしかったという絵日記を描いた時です。
大学三年生くらいの時に、ペドロ・コスタ*の講演会を聴いて
現実を描写するしかないのだと思いました。
彼の撮った『ヴァンダの部屋』という映画は
ベッドが入ればいっぱいいっぱいの狭い部屋をただ延々と撮るというもので。
そこにある現実を描写するしかないのだという、諦めみたいなものを感じました。
同じくらいの時に日本国憲法の 「健康で文化的な最低限度の生活」というフレーズが
頭から離れなくなり、それからは半径1mの世界、A4サイズに収まる世界を描くようになりました。


































大島智子
「ガストでもロイホでもラブホでもいいよ」

*1959年、ポルトガル・リスボン生まれの映画監督。
「ヴァンダの部屋」ではスラム街を舞台に退廃的な映像美を見せた。



■ MVについて

大島さんはイラストを提供するだけでなく、ご自身も被写体となってMV*に参加されていますよね。
その点でなにか苦労や感じた事はありましたでしょうか?

大島 : 私のTumblrを観てくださったようで、MVのご依頼を頂きました。
私なんかでいいのかなあ、と思ったくらいで、特に苦労はしませんでした。
スケブリさん、細金さんはふざけながらも格好いい事をぽんぽんやるので
凄いなあと思いながらこそこそ観察していました。


*tofubeats 「No.1 feat.G.RINA」のMVでは、大島智子自身がモデルとなって出演している。


泉まくら 「balloon」




tofubeats 「No.1 feat.G.RINA」






■ 大島智子をつくったもの

ペドロ・コスタ 『ヴァンダの部屋』

大島 : 最初に観た時は退屈な映画だと思いました。
けれど、時間が経ってふとヴァンダの事を思い出すと涙がだらだらと流れてきました。
耐えられない退屈も私たちの戦場であり、ドラッグ依存や貧困でなくとも
私の生活の延長線上にそれらはある。

t.o.l 『TAMALA2010』

大島 : 中学生の時に雑誌で知り、衝撃を受けました。
ベジェ曲線で描かれた、 汚い東京と、SFと
ビッチでかわいい女の子と、感傷的な男の子。
私はずっとこれを求めていたのだと、栃木の片田舎で思いました。

岡崎京子 『pink』

大島 : 中学生の時、ブックオフで買いました。
最初は退屈で、外れの漫画買っちゃったな〜と思いました。
けれど、最後まで読んでみて
一気に今までのユミちゃんの退屈が愛おしく、心がヒリヒリと苦しくなりました。
私の生活の中にはユミちゃんがいます。
「シアワセなんて当然じゃない?血まみれなんて恐くない。だって女の子だもん」

坂口安吾 『青鬼の褌を洗う女』

大島 : 一番読んでいる小説だと思います。高校を退学になった頃に、押入れの中で読みました。
戦争が来ても親が死んでも、そんなものかとにこにこ、醜い久須美のお妾さんになってのんびり暮らしている。
嫌味がなく、天性のお妾気質であるサチ子は、永遠の私のミューズだと思います。



























    大島智子
     1988年9月 神奈川県生まれ。
     2008年頃よりTumblrにgifアニメを投稿し始める。
     主な作品に、禁断の多数決『ノスフェラトゥ』MV、泉まくら『candle』MVなどがある。
     (2014年1月現在、Tumblrは休止中。)